昔詩人だった平出隆に,『猫の客』(河出書房新社,2001)という佳品がある.
猫が好きな人には,そうでない人より,数倍楽しめる.
と,これ以上書いてしまうと,この小説を読むほんとうの面白さを損なうので,『猫の客』については,これでおしまい.(それほどに,繊細な小説なのである.)
代わりに,正津勉から聴いた話をしよう.
平出氏は,私生活でも猫を溺愛しているそうな.確かシャム猫かなにか,とても神経質な猫を飼っていて,仕事で海外へ行かなければならなくなった時,その神経質猫を海外へ一緒に連れて行こうとしたのだけれど,税関で引っかかって,過ごさなくとも済んだ時間を,費やしてしまったのだそうである.
私も猫を飼っているが,やはり神経質猫の見本のような猫である.もともと虚弱児として生まれたのを貰い受け,一緒に暮らしていたら,私以外の人間には,決して心を開かない,とんでもない神経質猫になってしまった.私も,その猫と,ほんの数人の人間にしか心を開かない超神経質人間なので,どちらがどちらに似たのか分からないが,なかなか楽しい生活を共に送っている次第.
『猫の客』は,文庫でも手に入るけれど,ここはやはり,オリジナルのハードカバーで読むことをお勧めする.ゆっくり時間をかけて読むと,「若き整骨師の肖像」の詩人の,文才(と文彩)が堪能できる.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿